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2016-11-30

二重生活

★★★
二重生活
鑑賞No:02826
製作:2015年/日本/126分
監督:岸善幸
出演:門脇麦/長谷川博己/菅田将暉/リリー・フランキー

大学院の哲学科に通う珠は、担当教授のすすめから、ひとりの対象を追いかけて生活や行動を記録する「哲学的尾行」を実践することとなる。最初は尾行という行為に戸惑いを感じる珠だったが、たまたま近所に住む石坂の姿を目にし、石坂の姿を追う。一軒家に美しい妻と娘と暮らす石坂を、珠が尾行する日々が始まった・・・・。

直木賞作家・小池真理子の同名小説の映画化。はっきり言ってよく分からない映画。分かるためには、主人公がどうしても書きたくて、担当教授からも傑作と言われた論文を読んでみなければ分からない気がした。そもそも「哲学的尾行」(理由のない尾行)って何?たとえ理由がなくてもやはりこれはストーカー行為ではないの?必ずしも主人公の責ではないとは思うけど、尾行対象の不倫が発覚し、自殺未遂にまで発展する。悪いのは尾行対象の男だろうし、直接的な発覚原因は近所のおばさんのチクリだろうが、大学論文のテーマのため、尾行を推奨する教授も変で、違和感ある内容だった。むしろ興味深かったのはサイドストーリー的な教授と雇われ妻の、死期が近い教授の母親の前での夫婦演技の方がよりジーンときた。

劇場公開日 2016年6月25日



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2016-11-29

海よりもまだ深く

★★★+
海よりもまだ深く
鑑賞No:02825
製作:2016年/日本/117分
監督:是枝裕和
出演:阿部寛/真木よう子/小林聡美/樹木希林

15年前に文学賞を一度受賞したものの、その後は売れず、作家として成功する夢を追い続けている中年男性・良多。現在は生活費のため探偵事務所で働いているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳していた。別れた妻・響子への未練を引きずっている良多は、彼女を「張り込み」して新しい恋人がいることを知りショックを受ける。ある日、団地で一人暮らしをしている母・淑子の家に集まった良多と響子と11歳の息子・真悟は、台風で帰れなくなり、ひと晩を共に過ごすことになるが・・・・。

阿部寛演じる良多が主人公のため、主人公寄りで主人公に同情的に描かれているが、厳しい言い方をすれば、完全に悪いのは良多で、同情の余地がないくらいダメ男である。過去の栄光にだけすがり、未練タラタラ、まっとうに働こうとせず、すぐギャンブルに走り、挙句の果て借金まみれ。妻に愛想を尽かされても誰にも文句が言えない有様。世間でよくありがちな、未練がましい男、別れた男には全く未練がない女、そしてこんなダメな息子が可愛くてしょうがない母親。そんな3人を中心に話は進み、ひょっとしてよりが戻るかもしれないという予感を感じさせる台風による足止めが起きるが、奇跡は起こらない。何とも現実的で納得のいく結末だったのが逆によかった。

劇場公開日 2016年5月21日



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2016-11-28

シン・ゴジラ

★★★+
シン・ゴジラ
鑑賞No:02827
製作:2016年/日本/119分
総監督:庵野秀明/監督:樋口真嗣
出演:長谷川博己/竹野内豊/石原さとみ/高良健吾

東京湾アクアトンネルが崩落する事故が発生。首相官邸での緊急会議で内閣官房副長官・矢口蘭堂が、海中に潜む謎の生物が事故を起こした可能性を指摘する。その後、海上に巨大不明生物が出現。さらには鎌倉に上陸し、街を破壊しながら突進していく。政府の緊急対策本部は自衛隊に対し防衛出動命令を下し、“ゴジラ”と名付けられた巨大不明生物に立ち向かうが・・・・。

日本版ゴジラとしては初のフルCGで作られた作品。ただ、ゴジラがフルCGであること以前に、これまでの日本版ゴジラやハリウッド版ゴジラとは趣も異なり、一線を画す作品となっている。これまでの作品は人間VSゴジラ、あるいはゴジラVS怪獣という対決構図の中でゴジラが描かれていたが、本作は日本政府(組織)VS外敵といったイメージで、あくまで外敵のイメージ的な象徴としてゴジラが描かれているが、ゴジラは観る人によって何物にも置き換えることができるような印象だ。それに対し、人間側はこれまでのような主人公的なヒーローは出てこず、常に組織として判断・行動しており、実にリアルだ。実際に有事の際はまさにこのような内部の動揺、喧喧囂囂なやりとりが展開されるのだろうと思わせるような描写だ。憲法9条をめぐる憲法改正論議が今後活発になるだろうが、まさにゴジラのような容赦ない侵略者によって引き起こされる有事の際には日本はどうするのか?という日本全体の課題について突きつけられたような内容になっている。

劇場公開日 2016年7月29日



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2016-11-27

デジャブ

★★★★
デジャヴ
鑑賞No:01419
原題:Deja Vu
製作:2006年/アメリカ/127分
監督:トニー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン/ポーラ・パットン

全米最大のカーニバル、マルディグラで賑わうニューオーリンズで、海兵とその家族を乗せたフェリーが大爆発を起こす。死者543名を出したこの事件を担当したATF捜査官タグは事件現場から爆薬を発見し、爆破テロだと確信する。同じ頃、爆破現場近くで発見された女性もテロ事件の被害者かと思われたが、遺体を見たタグは彼女の死に不審を抱く・・・。

デンゼル・ワシントン主演のSFサスペンス。結構引き込まれていくテンポよい展開はよかった。また前半に張り巡らされた伏線が後半、小気味よく明らかになっていくのも楽しめた。ただ最初、刑事サスペンスかと思っていたが、後半の意外な展開には驚いた。(ネタばれになるのであえて書きませんが)この手の映画に必ずつきまとう矛盾はやはり解決されず、ラストはこんなものかと思いながら多少不満は残るものとなった。それを差し引けば、まずまず楽しめる良品。

劇場公開日 2007年3月17日



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2016-11-26

BOBBY ボビー

★★★+
ボビー
鑑賞No:01414
原題:Bobby
製作:2006年/アメリカ/120分
監督:エミリオ・エステベス
出演:アンソニー・ホプキンス/デミ・ムーア

残業を強制され野球観戦の断念を余儀なくされた厨房のメキシコ系スタッフ、ベトナム派遣を回避するため結婚する男女、宿泊者の悩みを聞くホテル支配人の妻でもある美容師、人種差別がもとでクビになったキッチンマネージャーなど当日ホテルに居合わせた人々はそれぞれ事情を抱えていたが、皆ボビーが大統領になれば未来は明るいという希望を持っていた・・・。

遊説先のLA、アンバサダーホテルでロバート・F・ケネディが暗殺される1968年6月5日に、ホテルに居合わせた宿泊客や従業員、選挙スタッフらが織りなす人間模様を描いた、いわゆる「グランドホテル形式」と呼ばれる群像劇。最近この手の映画が増えており、2006年にアカデミー作品賞を獲得した「クラッシュ」もこの形式。本作とジャンルは異なるが、三谷幸喜の「THE 有頂天ホテル」もこの形式といえる。この形式の妙は、全く独立したエピソードが同時進行しながら、そのエピソードが微妙に絡み合うところであろう。そしてそのエピソードが共通した場所・目的で進行すること。本作でいえば、場所はアンバサダーホテルであり、最終的にロバート・ケネディ暗殺事件に遭遇するという点であろう。それぞれのエピソードには個人的な問題に留まらず、当時のアメリカの抱える問題が凝縮されており、その象徴として随所にベトナム戦争の映像が織り込まれている。エピソードが盛り沢山な分、一つ一つについては深く入り込んでない点がやや不満。

劇場公開日 2007年2月24日



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2016-11-25

マリー・アントワネット

★★+
マリー・アントワネット
鑑賞No:01420
原題:Marie Antoinette
製作:2006年/アメリカ/123分
監督:ソフィア・コッポラ
出演:キルスティン・ダンスト/ジェイソン・シュワルツマン

オーストリアの皇女マリーは14歳でフランス王太子ルイ16世に嫁ぐことになる。期待を膨らませフランスにやってくるが、国境で衣装をすべてフランス製に変えられ、愛犬も取り上げられてしまう。夫のルイ16世も必要なこと以外マリーとは口をきかず、閨でも彼女に触れようともしない。宮廷内で様々な悪い噂の流れる中、やがてまりーはパーティやギャンブルに興じるようになる・・・。

悲劇の王妃マリー・アントワネットの半生を描くドラマ。ただ、歴史ドラマとして観ると失望する映画。歴史上の人物であるマリー・アントワネットを一人の女性として扱っているが、結果的に失敗だったと言わざるを得ない。結局何を描きたかったのか最後までよく分からなかった。主演のキルスティン・ダンストだが、「スパイダーマン」のときも思ったが、ヒロインとしては相応しくない女優という先入主があり、感情移入も難しかった。映画に採用しているポップ調の音楽は斬新だが、その分重厚さに欠ける軽い映画となっている。時代劇とBGMの組み合わせでは北野武の「座頭市」を思い出させるものだった。「マリー・アントワネット」ということは忘れて、政略結婚させられたある貴族女性の成長記という程度で観ればよいかと思う。

劇場公開日 2007年1月20日



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2016-11-24

モヒカン故郷に帰る

★★★+
モヒカン故郷に帰る
鑑賞No:02824
製作:2016年/日本/125分
監督:沖田修一
出演:松田龍平/柄本明/前田敦子/もたいまさこ

モヒカン頭がトレードマークの売れないデスメタルバンドのボーカル・田村永吉は、恋人の由佳が妊娠したのをきっかけに、彼女を連れて7年ぶりに瀬戸内海の戸鼻島に帰郷する。実家には、矢沢永吉を信奉する父・治と熱狂的なカープファンの母・春子、たまたま帰省していた弟・浩二がいた。家族が珍しく顔を揃えたのも束の間、すぐに始まる恒例の親子喧嘩。そんな中、治が末期ガンであることが判明し・・・。

単純なストーリーで分かりやすい内容ではあるが、冒頭から特に何の説明もなく進行するので、何の映画か、どんな映画か予想できず、ちょっと戸惑う。そして主人公の2人はタイトルにあるように広島の実家に帰る。帰ってからやっと、2人は恋人同士であること(予想はつくが、恋人なのか夫婦なのかの説明が冒頭になし)、そして今度結婚すること、彼女の由佳が現在妊娠していることなどが明らかになる。ただ、最後まで、故郷を出て7年も帰省しなかった理由(単純にお金がないだけ?)やモヒカンスタイルにこだわる理由などは明かされなかったし、特に言及もされなかった。恋人の由佳は夫の実家の家族にすぐ馴染んでいくが、父子はなぜか馴染めない。それでも父の治が末期ガンと判明してからは、次第に心が通いあっていく姿が描かれえいる。「矢沢永吉のお見舞い」のリクエストが出たときは、ひょっとして永ちゃん出演してるの?と思ったが、やはり本人登場はこの映画では違和感が感じられたのか、永ちゃんに変装して願いを叶えるといった対応だったのは無難だと思った。

劇場公開日 2016年4月9日



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2016-11-23

おとなのけんか

★★★★
おとなのけんか
鑑賞No:02823
原題:Carnage
製作:2011年/フランス、ドイツ、ポーランド/79分
監督:ロマン・ポランスキー
出演:ジョディ・フォスター/ケイト・ウィンスレット

子ども同士のケンカを解決するため2組の夫婦が顔をあわせ、話し合いを始める。最初は理性的に進められていた話し合いも、時間がたつにつれ各々の本性がむきだしになり、やがてそれぞれの夫婦間にも不協和音が生じていく・・・・。

トニー賞演劇部門の作品賞やローレンス・オリビエ賞の新作コメディ賞を受賞したヤスミナ・レザの舞台劇「大人はかく戦えり」の映画化。登場人物は4人のみで、室内でリアルタイムに進行する会話劇となっている。1時間40分という短尺ではあるが、4人のみの出演で、ほとんど同じ室内でのやりとりだが、決して飽きさせないテンポ良い進行で展開する。子供の喧嘩が原因の、被害者の両親と加害者の両親による大人の紳士的な話し合いでストーリーは始まるが、次第に本性を露呈し始め、醜い大人の口げんかになっていく様は面白い。対立軸も加害者と被害者という関係だけではなく、お互いの夫婦間、あるいは男同士VS女同士といったように、刻々と目覚ましく変化する様子もよくできている。大人の喧嘩は最終的に収拾のつかない泥沼化を呈するが、喧嘩した当の子供たちはそんなことはお構いなしに仲直りしているラストは印象的。

劇場公開日 2012年2月18日



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2016-11-22

雪に願うこと

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雪に願うこと
鑑賞No:01417
製作:2005年/日本/112分
監督:根岸吉太郎
出演:伊勢谷友介/佐藤浩市/小泉今日子/吹石一恵

東京で起業した会社が倒産しかかり逃げてきた上、帯広のばんえい競馬で持ち金をすってしまった学は、調教師の兄を訪ねる。事情を知った兄は、身勝手な学に腹を立てながらも厩務員の仕事を与える。
やがて厩舎での仕事や、自分と二重写しの馬ウンリュウ号を通して人生の挫折から立ち直っていこうとする・・・。

北海道の障害物レース“ばんえい競馬”を舞台にした、家族の絆を描くドラマ。自分では頑張ってきたつもりだが結果的に挫折し八方ふさがりとなってしまって世間から逃避しているにも拘らず自尊心の強い弟、そんな弟に辛く当たりながらもなんとか助けてやろうとする兄。対立しながらもお互い次第に打ち解けあっていく兄弟の姿をよく描いている。老人ホームに入っている母親に弟を会わせることにした兄の心境の変化には拍手喝采したが、母親に会ったときの厳しい現実には涙してしまう。彼らを取り巻く人々も厳しい生活の中、伸び伸びイキイキと生きている様はいかにも北海道らしい。実際のばんえい競馬は経営難から廃止の危機に瀕しているようだが、本作をきっかけに再興できればと思う。

劇場公開日 2006年5月20日



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2016-11-21

クリーピー 偽りの隣人

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クリーピー 偽りの隣人
鑑賞No:02822
製作:2016年/日本/130分
監督:黒沢清
出演:西島秀俊/竹内結子/川口春奈/東出昌大/香川照之

元刑事の犯罪心理学者・高倉は、刑事時代の同僚である野上から、6年前に起きた一家失踪事件の分析を依頼され、唯一の生き残りである長女の記憶を探るが真相にたどり着けずにいた。そんな折、新居に引っ越した高倉と妻の康子は、隣人の西野一家にどこか違和感を抱いていた。ある日、高倉夫妻の家に西野の娘・澪が駆け込んできて、実は西野が父親ではなく全くの他人であるという驚くべき事実を打ち明ける・・・・。

日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した前川裕の小説「クリーピー」を元にしたサスペンススリラー。前半の謎めいた伏線にどんどん惹きこまれていく感じで、興味はどんどん膨らんでいった。ただ、伏線がよかった割に、その結果があっけなさ過ぎた答えだったのは残念。それでもこの作品で特筆すべきは不敵なサイコパスを演じた香川照之の演技。多彩に変化する感情、表情、態度、言葉使いなど、静かに、だが確実に伝わる何をされるかわからない恐怖。見事であり、存在感の大きさはピカ一。それだけに、前半張られた伏線が生かしきれておらず、香川演じる西野のあっけない死にはちょっと唖然とした。意外な展開、意外な結末、けれども前半の伏線との整合性・納得性を期待していたが、違った意味で意外な手無き・結末で納得はできない終わり方だったのも残念。

劇場公開日 2016年6月18日



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2016-11-20

ライアー・ハウス

★★★+
ライアー・ハウス
鑑賞No:02821
原題:Breathless
製作:2012年/アメリカ/92分
監督:ジェシー・バジェット
出演:ジーナ・ガーション/ケリー・ギディッシュ

テキサスの田舎町で暮らすローナは、夫デイルが銀行強盗で手にした現金10万ドルを奪うため、自宅で彼を縛り上げて金の隠し場所を聞き出そうとする。親友タイニーも呼び出してデイルに銃を突きつけるローナだったが、誤ってデイルを射殺してしまう。金の行方はわからないまま、死体の処理に悪戦苦闘する2人。さらに運の悪いことに、警官まで訪ねてきてしまう。絶体絶命の状況に追い込まれた2人は、ある考えを思いつくが・・・・。

いわゆる密室劇・ワンシチュエーション映画に類する作品。舞台は主人公ローナが暮らす家の一室。冒頭の設定からして衝撃的で、観客を惹きつけるには文句なし。ストーリーも単純で分かりやすく、入りやすい。前半はややスローペースで変化に乏しいが、中盤から後半かけて急にテンポが速く、状況も刻々と変わっていく。ただ、ストーリーにやや無理があること、また、意外性は低く先読みできることが難点と思われる。また、少々グロくて、軽い内容の割には家族団らんで観るには向いていない。

劇場公開日 2016年1月9日



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2016-11-19

殿、利息でござる!

★★★★+
殿、利息でござる!
鑑賞No:02820
製作:2016年/日本/129分
監督:中村義洋
出演:阿部サダヲ/瑛太/妻夫木聡/竹内結子

江戸中期、財政難のため民衆に重税を課す仙台藩では、破産や夜逃げが相次いでいた。寂れ果てた宿場町の吉岡宿でも年貢の取り立てや労役で人々が困窮し、造り酒屋を営む穀田屋十三郎は、町の行く末を案じていた。そんなある日、十三郎は、町一番の知恵者である茶師・菅原屋篤平治から、藩に大金を貸し付けて利息を巻き上げるという、宿場復興のための秘策を打ち明けられる。計画が明るみになれば打ち首は免れないが、それでも十三郎と仲間たちは、町を守るために私財を投げ打ち、計画を進める・・・・。

歴史家・磯田道史による評伝「無私の日本人」に収録されている一編「穀田屋十三郎」の映画化。阿部サダヲ主演と聞いて、てっきりコメディ映画かと思いきや、実話が元で感動のドラマであり、いい意味で期待を裏切られる作品だった。また、全体的にほんわかしたストーリー。実は悪そうな感じの役者は何人もいたが、基本、根っからの悪役はいないため、最後まで気分よく観れる。ましてや、二代にわたっての守銭奴と世間では言われていた、山﨑努・妻夫木聡演じる浅野屋甚内の隠れた行いには思わず涙した。普段は悪役の多い堀部圭亮演じる代官も本当に人のいい熱血漢の役人だし、松田龍平演じるキレ者の萱場もちょっと意地は悪いが、根っからのワルではなく、動きや口調も飄々としていてワル者らしさは感じられなかった。自分たちの宿場を何とか救おうとする人々の熱意のドミノが実った内容だが、裏話でこの作品が映画化に至った話も「感動のドミノ」としてパンフなどで紹介されており、熱意は繋がるということを証明した一例であった。

劇場公開日 2016年5月14日



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2016-11-18

チェンジリング

★★★★+
チェンジリング
鑑賞No:01706
原題:Changeling
製作:2008年/アメリカ/142分
監督:クリント・イーストウッド
出演:アンジェリーナ・ジョリー/ジョン・マルコヴィッチ

1928年のロサンゼルス。シングルマザーのクリスティンは息子のウォルターと幸せな毎日を送っていた。だがある日、家で一人で留守番していたウィルターが失踪する。そして行方不明のまま5ヶ月が過ぎたとき、息子が発見されたとの報が入る。クリスティンは喜び勇んで息子と再会を果たすが、彼女の前に現れたのはウィルターではなく、彼に似た見知らぬ少年だった・・・。

子供が失踪してから見つかるまでの5ヶ月間があまりにも早く簡単に描かれていたため、その間の母親の苦悩や憔悴が描ききれないまま、この映画の最初の転機である“よく似た”息子と再会を果たすため、事件の発端があまりにも淡白な感じが否めなかったが、この後の波乱に満ちた展開を思うと公開時間的にここはさらりと流すしかなかったのではないかと後で思った。それほど、ストーリーは非常に分かりやすいながら、こんな展開になっていくのかと驚かされる見ごたえのあるドラマになっていきます。そんな中、母親として子供に会いたい一心で、巨大な権力にも臆せず立ち向かっていく女性をアンジーが熱演しています。アクションだけではなく、こういう演技もできるという、アカデミー主演女優賞ノミネートも納得の演技でした。ネタばれになるので結論は言えませんが、希望を失わない母親の執念というか、一途な思いには脱帽する映画です。

劇場公開日 2009年2月20日



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2016-11-16

レミーのおいしいレストラン

★★★
レミーのおいしいレストラン
鑑賞No:01415
原題:Ratatouille
製作:2007年/アメリカ/110分
監督:ブラッド・バード
声の出演:パットン・オズワルド/ルー・ロマーノ

ずば抜けた嗅覚と味覚をもつネズミのレミーは、仲間のエサの毒見役をしている。ある日、人間のキッチンに潜入したレミーは住人に見つかってしまい、混乱の中、仲間とはぐれてしまう。一匹となったレミーは憧れのグストーシェフのゴーストに導かれ、彼のレストランにたどりつくが・・・。

子供向けにはうってつけの映画。何にも取り得のない見習いシェフのリングニイと、料理の天才ネズミのレミーとの関係はさながらドラえもんとのび太の関係を思い出させた。ネズミのスピード感ある映像と、リアル感ある料理映像はさすがにCG技術の高さを証明していた。ただCGアニメだからこそまだ許せるが、料理(=清潔であるべきもの)とネズミ(不潔で汚いもの)が同居する厨房の映像は分かっていても違和感があった。ストーリー的にはありきたりではあるが、ツボを踏んだ纏まりのある構成になっている。

劇場公開日 2007年7月28日



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2016-11-14

ヒメアノ~ル

★★★+
ヒメアノ~ル
鑑賞No:02819
製作:2016年/日本/99分
監督:吉田恵輔
出演:森田剛/濱田岳/佐津川愛美/ムロツヨシ

平凡な毎日に焦りを感じながら、ビルの清掃のパートタイマーとして働いている岡田は、同僚の安藤から思いを寄せるカフェの店員ユカとの恋のキューピッド役を頼まれる。ユカが働くカフェで、高校時代に過酷ないじめに遭っていた同級生の森田正一と再会する岡田だったが、ユカから彼女が森田にストーキングをされている事実を知らされる・・・・。

「行け!稲中卓球部」「ヒミズ」の古谷実による同名コミックの実写映画化。あらすじやキャストなどまったくの予備知識がないまま観出した映画で、映画が始まって出てきた濱田岳とムロツヨシを見て、コミカルな恋愛モノかと思って観ていた。ところがストーカーらしき森田剛が出てきて、また冴えない青年の濱田岳に一目惚れしたというユカの胡散臭さに、単なるラブ・コメディではなく、犯罪の臭いが感じられ始めた。そして、映画の中盤頃に突然タイトルロールが・・・・。何で今ごろ?と思っていたら本当に始まってしまった。この映画の本当の姿が!決してラブ・コメディ映画なんかではなかった。それもリアルな描写で視覚的に迫ってくる恐怖。森田剛演じる狂気の殺人者も真に迫った演技で見事だった。前半部と後半部で様相が一変する凄い映画。

劇場公開日 2016年5月28日



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2016-11-13

センター・オブ・ジ・アース

★★★★
センター・オブ・ジ・アース
鑑賞No:01639
原題:Journey to the Center of the Earth 3D
製作:2008年/アメリカ/92分
監督:エリック・ブレビグ
出演:ブレンダン・ブレイザー/ジョシュ・ハッチャーソン

大学教授のトレバーは地底世界の存在を信じていた行方不明の兄の学説を立証しようと研究を続けていた。そんなある日、兄の遺品の本の書き込みから、地底世界解明の謎がアイスランドにあると確信、兄の息子のショーンとともにアイスランドへ。現地の山岳ガイドのハンナの協力を得た彼らはスネフェルス山に向う・・・・。

ジュール・ベルヌ原作の「地底旅行」をベースにした新型3Dアドベンチャー映画。ツッコミどころ満載の映画といえばそれまでだが、子供と一緒に童心に帰って観れば結構楽しめる。ストーリーも単純で分かりやすく、何よりもフル3D映像による臨場感あふれるシーンの体感は映画というより、アミューズメント・アトラクションを体験しているよう。約90分というやや短尺なため、内容の深みはイマイチながら、アトラクションと考えれば十分長いと感じられる。特にトロッコの暴走シーンなどはリアル体感ができて最高。(早すぎて目がついていけなかったが・・・・動体視力の衰え?)それにしても、地球の中心があんな世界だとは・・・。夢があっていいけど、体感映像とは逆にリアル感はなかったですね。

劇場公開日 2008年10月25日



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2016-11-10

病は気から 病院へ行こう2

★★★
病院へ行こう2
鑑賞No:00334
製作:1992年/日本/111分
監督:滝田洋二郎
出演:小泉今日子/三上博史/真田広之/柄本明

美容師の安雲祐子は飲み過ぎで片倉総合病院に担ぎ込まれ、院長から胃潰瘍と診断されるが実は末期ガンだった。延命措置を主張する院長の一郎に対し、弟の保は苦痛のない死に方をあたえるべきと反対した。そんな中、うかつな保の一言から自分の病気を知った祐子は病院を抜け出そうとするが・・・・。

「2」となっているが続編ではない。「1」に患者役で出演していた真田広之は「2」では医者役となっている。本作は、病院を舞台にしたコメディ映画という体裁は継承しながら、ガン告知やホスピスといった医療テーマにも踏み込んだ社会派的な側面も持つ映画となっている。さらに医者と患者とのラブストーリーでもあり、末期ガンの患者がアイドルになってしまうなど、突拍子もない展開にまずまず楽しめた。キョンキョン・ファンにはいい映画ではないだろうか。

劇場公開日 1992年12月19日

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2016-11-08

座頭市(1989年版)

★★★
座頭市(1989年)
鑑賞No:01587
製作:1989年/日本/116分
監督:勝新太郎
出演:勝新太郎/緒形拳/樋口可南子/陣内孝則

牢を出たばかりの座頭市は、漁師の儀助の家に厄介になりながら、五右衛門一家の開く賭場で遊んでいた。その賭場で大勝ちした市に憮然とした五右衛門一家は取り囲むが、女親分のおはんのとりなしにより難を逃れる。そんな頃、跡目を継いだばかりの五右衛門は、宿場一帯を仕切るため、八州取締役に取り入ろうとしていた・・・。

「座頭市」シリーズは1962年以降、数多く作られたが、この作品は主役の勝新太郎が唯一監督を務めた作品。また勝新太郎による座頭市は本作品が最後となっている。勝新・座頭市はTVでは何度か観たことがあったが、映画で観るのは初めて。基本的にはTVと特に変わった印象はなかったが、勝新太郎が製作・監督・脚本・主演を務めただけあって座頭市の面白い部分を巧く集めた、いわゆる集大成のような感はあった。座頭市というキャラクタも魅力あるキャラである。盲目という障害を持ち、世間的には弱者という立場にあり、腰の低い按摩という普段の姿から、一変して立ち回りは後ろにも目があるかのごとく見事な居合術に唖然とする。この180度の変わりようもヒーローものの一つの魅力だ。20年前の作品ということもあり、お馴染みの顔ぶれも多いが皆若く、ある意味新鮮に観ることができた。「2」の企画もあったようだが、撮影中の不幸な事件や、勝新太郎の逮捕などで流れたことは残念である。

劇場公開日 1989年2月4日



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2016-11-06

アキレスと亀

★★+(2.5)
wアキレスと亀
鑑賞No:01707
製作:2008年/日本/119分
監督:北野武
出演:ビートたけし/樋口可南子/柳優怜/麻生久美子

裕福な家に生まれ、幼いころから絵を描くことだけに集中してきた真知寿は将来、画家になることを夢みていた。しかし父親の会社が倒産し、両親の自殺、貧乏生活、画家仲間の事故死などを経験しながらも絵を描き続けていた。そんな彼の前に唯一の理解者ともいえる幸子が現れる。二人は結婚し、幸子は働きながら彼を支えるが、いくら創作に励んでも絵は一向に認められず売れなかった・・・・。

北野作品は個人的には当たり外れの多い気がする。そして前作の「監督・ばんざい!」でとうとう北野作品の限界を感じたというか、世間の評価に疑問を感じぜらるをえなくなってきた。この作品は「監督・ばんざい!」ほどではないにしろ、自分がやりたいことのみ追求する我儘で自己満足的な映画のような気がして、共鳴するものはなかった。出てくる絵(北野武の絵?)もよく分からない絵だし、画商が言う評価も納得。絵に象徴されるような映画だと思った。あと、多少憤りを感じるのは、死に対するあまりにも安直な描き方。笑いを取ろうとしているのか分からないが、そうであれば徹底したコメディにして欲しい。そういう意味でも中途半端で高評価しがたい。

劇場公開日 2008年9月20日



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2016-11-05

アイアムアヒーロー

★★★(3.0)
wアイアムアヒーロー
鑑賞No:02818
製作:2016年/日本/127分
監督:佐藤信介
出演:大泉洋/有村架純/長澤まさみ/吉沢悠

漫画家アシスタントとしてパッとしない日々を送る、35歳の鈴木英雄。そんな彼の恋人が、人間を凶暴に変貌させるウイルスに感染して襲い掛かってくる。慌てて趣味の射撃で所持する散弾銃を手に外に飛び出す英雄だが、街はZQNと呼ばれる感染者であふれていた。そこで出会った女子高生・早狩比呂美と逃げるが、彼女は歯のない赤ん坊のZQNにかまれて半分ZQN半分人間という状態になっていた・・・・。

「ボーイズ・オン・ザ・ラン」などの花沢健吾の人気コミックを実写化したパニックホラー。ZQN(ゾキュン)が何の略か分からないが、原因不明の感染によって狂暴化した人間を指すみたいで、平たく言えばゾンビ映画のよう。原因不明というのが実は曲者で、最近特に感じるが、できるだけ興味を惹くような奇想天外な設定にのみ注力され、その根拠や説明は一切ないという作品が多いような気がするが、本作もまさにそれ(原作は読んでいないので、原作ではきちんと書かれているのかもしれないが・・・)。ともかく、突然、ZQNの襲撃が始まり、ZQNからの逃亡と対決を描いているだけ。原因や理由は一切説明はない。また、後半はアウトレットモールでの、人間とZQNとの闘いが描かれてはいるが、ただ、ZQNからの攻撃に対するだけで、未来への希望は見出せない。結局、主人公たちはアウトレットモールでZQNを撃退し、脱出に成功するが、行き先に希望はないという、映画とは思えない暗~い気持ちで終るエンディング。唯一の希望は何故か富士山らしいが、それもラストでは言及されていない。そんな中、唯一光ったのが大泉洋の演技。持ち前の軽妙さと、逆にシリアスな演技をうまくミックスさせ、普段は演じることの少ない印象の腰の低い人間を演じながら、やがてヒーローに変身していく姿を見事演じていた。

劇場公開日 2016年4月23日



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2016-11-04

R-18文学賞vol.1 自縄自縛の私

★★(2.0)
wR-18文学賞vol1 自縄自縛の私
鑑賞No:02817
製作:2012年/日本/106分
監督:竹中直人
出演:平田薫/安藤政信/綾部祐二/津田寛治

サービス残業や社会のいじめでストレスを抱えるOLの百合亜は、自らを縛り上げることを密かな趣味にして、ストレスを解放していた。やがてブログを通じて知り合った「運命の人」と出会った百合亜は、次第に大胆になっていき・・・・。

全体的にストーリーは緩やかに進むため、ちょっと退屈気味になる作品。ストレスを抱えているのは分かるが、それが自縄自縛をするきっかけや、のめり込んでいく理由がイマイチ描けていないというか、よく分からなかった。登場人物も、だれもかれも普通の人はおらず、皆、異常者に見えたのは私だけだろうか?主人公と同類(同趣味)のメル友が実は意外な人物というか、ちょっとしたオチのようで、これは良かった。題名からもうちょっとエロチックな作品かと思っていたが、意外と普通で、一言でいえば異常な世界の作品といえる。

劇場公開日 2013年2月2日



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2016-11-03

隣のヒットマン

★★★★
隣のヒットマン
鑑賞No:01073
原題:The Whole Nine Yards
製作:2000年/アメリカ/99分
監督:ジョナサン・リン
出演:ブルース・ウィリス/マシュー・ペリー

カナダのモントリオールで歯科医をしているオズは義父の残した借金のため生活は苦しく、妻ソフィとの間も冷え切っていた。そんな夫婦の隣に伝説の殺し屋ジミー・チュデスキが引っ越してくる。ソフィはオズに、ジミーを父の仇と狙うマフィアのボスに彼の居所を密告するようにそそのかす。オズは早速、マフィアのボスのもとシカゴに飛ぶが、そこでジミーの妻シンシアと出会い、恋に落ちてしまう・・・。

隣に引っ越してきた隣人が殺し屋! それだけで観たくなるような設定がいいですね。クールな殺し屋のブルース・ウィリスとちょっとドジなオズの対照的なキャラのやり取りも絶妙で、良質のコメディに仕上がっている。最初はドタバタコメディかと思っていたが、意外と落ち着いた、しっかりしたストーリーのコメディで、さらに随所で笑いを誘うのもさすが。

劇場公開日 2001年4月21日



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2016-11-01

ナイト ミュージアム2

★★★
ナイトミュージアム2
鑑賞No:01867
原題:Night at the Museum: Battle of the Smithsonian
製作:2009年/アメリカ/105分
監督:ショーン・レヴィ
出演:ベン・スティラー/エイミー・アダムス

ニューヨーク自然史博物館の元夜警のラリーは、見事に起業家として成功を収めていた。そんな頃、自然史博物館は大規模な展示替えを行おうとしており、不要な展示物はワシントンD.C.のスミソニアン博物館の倉庫に移送されることに。しかし、移送された夜、ミニチュアのカーボーイからラリーにSOSの電話がかかってきて・・・・。

博物館の展示物が動く過程が結構楽しめた前作に比べ、それが当たり前になっている本作は、前作のような新鮮さは薄れ、全体的にドタバタ喜劇の様相が強かったような気がした。歴史上の人物の登場が増え、映画のパロディ的な演出もあってそれなりに楽しめたが、ベン・スティラーがちょっと格好良すぎたので、個人的にはもう少しとぼけた笑いが欲しかった。映像技術は日進月歩の世界なので見ごたえはあるが、内容的には続編(二番煎じ)の難しさを感じざるを得ない作品。

劇場公開日 2009年8月12日



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