
鑑賞No:02178
製作:2011年/日本/147分
監督:成島出
出演:井上真央/永作博美/小池栄子/森口瑤子
会社の上司で妻帯者の丈博を愛した希和子は彼の子供を身ごもるが、産むことは叶わず堕胎してしまう。そんなとき、丈博とその妻・恵津子の間に生まれた子供のことを知らされた希和子は、彼らの生後6か月の赤ん坊を誘拐し、子供には薫と名付け、各地を転々とする逃亡生活を続けることに。そして最後にたどりついた小豆島でひと時の安らぎを得るが、逃避行から4年、ついに捜査の手が希和子に迫り・・・・。
久々に見ごたえのあるドラマを見た感じの映画。誘拐事件を軸に、誘拐後の逃亡生活と、薫が成長し、過去の記憶をたどる旅をうまくリンクさせて展開していくストーリーはなかなか良かった。ただ、悲しく切ない物語で、それぞれの立場は分からないでもないが、観ていてちょっと腑に落ちない描き方に疑問を持った。 いったい誰が悪いのか?どうも映画では、永作博美演じる希和子に同情的に描かれているきらいがあり、そのため薫の実の母親をヒステリックに描くことでそれを強調しているかのようであるが、冷静に考えれば、最大の被害者は薫を除けば実の母親ではないか? そしてどんな理由があろうとも、誘拐は最も憎むべき犯罪であり、希和子の取った行動は弁解の余地のない、許されざる犯罪である。そこの部分にほとんど触れられずに、希和子と薫の疑似親子の物語になっているのがちょっと不満の残るところ。
(子を持つ親としては、森口瑤子演じる実の母親の姿、言動が本当で、真に迫っていると思う)
劇場公開日 2011年4月29日
